「飲水思源」という四字熟語があります。井戸の水を飲む際には、井戸を掘った人の苦労を思え
という意味で使われます。人の思いを忘れては、いけないという戒めの言葉です。
そして、日本酒造りでいうならば、「飲酒思源」日本酒を飲む際には、日本酒を作った人の
苦労を思え、というわけです。日本酒造りには、その一つ一つの工程に、作り手の苦労と努力が
見受けられます。その一つが「水」です。
日本酒の成分の約80%は、水であり、その品質は、酒の味わいを左右します。
酒造用水
- 硬度が高い水(硬水)には、ミネラル(※カリウム※マグネシウム※無機リン)が多く含まれていて、酵母の栄養素となる為、発酵が活発になり冴えわたる酒になる。
- 硬度が低い水(軟水)には、ミネラルが少ない為、舌触りの良い柔らかな味となる。
硬水仕込み →辛口傾向
軟水仕込み →甘口傾向
※カリウム
麹菌や酵母などの微生物の栄養源となり、発酵を促進する。もともと米に含まれている成分だが、水に溶け出しやすく洗米や浸漬で流出してしまう。足りない分を水から補うことで、発酵が順調になる。
※マグネシウム
カリウムと同じく微生物の栄養源となる。麹、酒母(日本酒を作る土台となる液体)もろみ、の発酵を促進する。水の硬度とは、水中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を示す数値である。
※無機リン
麹、酒母(日本酒を作る土台となる液体)もろみ、の発酵を促進する。白米にも、有機リンとして、存在しているが、無機リンでなければ効果を発揮しない。水から補う必要がある。
酒造用水の水質基準
酒造用水の水質基準は、水道水よりも厳しく設定されている。水の成分のうちカリウム、マグネシウム、無機リンは、日本酒造りには、欠かせない成分である。鉄とマンガンは、日本酒を褐色化させ、香味を悪くする原因となる。酒造りには、上質な水が欠かせないのである。
水質基準データ
酒造用水 | 水道水 | |
鉄 | 0.02ppm以下 | 0.3ppm以下 |
マンガン | 0.02ppm以下 | 0.05ppm以下 |
亜硫酸性窒素 | 検出されないこと | 10ppm以下 |
有機物 | 5ppm以下 | 3ppm以下 |
色 | 無色透明 | 無色透明 |
臭気・味 | 異常がないこと | 異常がないこと |
※ppmとは?
水1Lを1kgとし、水1kgは、1,000gであり、これの1,000分の1、m(ミリ)の単位に換算すると、1,000,000mgになり、1ppm=1mgと表現している。
酒造用水の種類
仕込み水
仕込みに使用し直接、日本酒の原料となる水
洗米・浸漬用水
米を洗う水、米に水分を吸わせる水
割水
出来上がった原酒に水を加えてアルコール度数を調整する。
まとめ
酒造用水は、使用する米の総重量の、数十倍必要であるといわれています。良質な水を生むことができる日本ならではかと思います。売られている日本酒を見て、どこの水を使っているんだろう?「これは、~~県のお酒だから、~~県の水かぁ~」なんて考えながら日本酒を楽しむのもいいかもしれませんね!そして作り手の苦労を思い感謝して、飲むお酒は最高に美味である。飲みすぎには、ご注意を…
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